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ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

47 一九六十年代の五冊のミステリー

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 ニコラス・フリーリングの一九六十年代の作品が五冊ここにある。作品の数はもっと多いが、僕のところにあるペーパーバックの山のなかから見つけたのは、ひとまずこの五冊だ。五冊ともバランタイン・ブックスからペーパーバックになった。ほぼリアル・タイムで手に入れ、そのたびに気になっていたのだが、いまにいたっても読んではいないまま、こうして五冊を眺め、そのことを楽しんでいる。
 年間最優秀ミステリー長編で、一九六七年度のエドガー・アラン・ポー賞を獲得した作家だ。二十代の前半から後半にかけて、ニコラス・フリーリングのような作家のミステリーに夢中になっていたなら、その後の僕はひょっとしてミステリー作家をめざしたかもしれない、などといま僕は思う。めざすのは勝手であり、ミステリー作家になれたかどうかは、まったくわからない、なんとも言えない。
 書き手のひとりとしての進むべき方向に関して、二十代に熱心におこなう読書によって、ほぼ決定的な影響を受けるというようなことがもしあるなら、読まなかった本、あるいはどんな本にせよとにかく読まなかったそのことによっても、決定的と言っていいほどの影響を、書き手という種類の人は受けるのではないか。
by yoshio-kataoka | 2006-11-27 11:24





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