ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

43 気になるペーパーバック 1

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 僕が持っているペーパーバックの山のなかに、見るたびに気になるペーパーバックが、何冊もある。作家が作品を書き、それがペーパーバックというかたちになっているのだから、本来なら、気になる作家、と言わなくてはいけないのだろう。しかしいったん作品になれば、それは書き手を離れて独立するのだから、気になる作品、という言いかたがもっとも正しいはずだ。そしてその作品は、いまこでは仮にペーパーバックになっているのだから、気になるペーパーバック、ということになる。
 デイヴィス・グラッブという作家の、仮に翻訳するとして『狩人の夜』という、背丈の低いデル・ブックの、一九六三年の新版。そしてクレスト・ブックで一九六二年にペーパーバックとなった、『ザ・ウォッチマン』という作品。山のなかに見落としているほかの作品が、さらに一冊くらいはあるかもしれないが、デイヴィス・グラッブの気になるペーパーバックは、いまのところこの二冊だ。
 表紙や裏表紙に印刷してある書評の引用や宣伝文句によると、どちらの作品も、戦慄に身が震える、恐怖に心が凍てつく、といったすさまじいサスペンス小説であるようだ。ただし、単なるよく出来たサスペンス小説ではなく、戦慄や恐怖にはただならぬ深みが用意されていて、その深みの底ではグロテスクなものと真実とが、渾然と一体になって悪を体現している、というような小説世界なのではないか。
 それほど気になるなら読めばいいのだが、読まないままにこうして気にしては、写真に撮ったりしているという読書も、あるのではないか。
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by yoshio-kataoka | 2006-11-01 12:27





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