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ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

39 戦争小説の表紙絵くらべ

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 ポピュラー・ライブラリーのペーパーバックから、戦争小説だけを抜き出し、そこからほとんど無作為に六冊を選んでみた。少なくともある時期までのアメリカでは、なんらかのかたちで戦争を主題にした小説が、数多く出版されていた。なんとかして戦争と折り合いをつけよう、としていた社会がそこにあったのではないか。いまでは折り合いどころの問題ではない。そんなものはどこかへ吹っ飛んでしまった。
 写真のなかでいちばん左にあるのは、一九六三年に出版されたもので、背景となっている戦場は南太平洋だが、あとはすべてヨーロッパ戦線の物語で、一九五十年代の作品だ。ただし右から三冊目は短編集で、書かれた期間は一九四五年から一九四九年にまたがっている。ヨーロッパ戦線の物語の表紙絵には、『プライヴェット』を別にすると、どれにもアメリカの兵士たちとともに、女性が描かれている。どの女性もイタリーの人ではないか。ソフィア・ローレン、シルヴァーナ・マンガーノ、エレオノラ・ロッシ・ドラーゴといったイタリー女優の亜流のようであり、その意味では表紙の彼女たちはひとりの女性だと言ってもいい。
by yoshio-kataoka | 2006-09-29 21:44





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